兎(卯)に関することわざ・慣用句・格言
・二兎を追う者は一兎をも得ず
欲を出して同時に二つのことをうまくやろうとすると、結局はどちらも失敗することのたとえ。
・獅子は兎を撃つに全力を用う
実力のあるものは、小さなことにも手を抜かず何事にも全力で向かうということ。
・株を守りて兎を待つ
古い習慣や過去に偶然成功した経験にこだわり、いつまでも進歩がなかったり融通がきかないことのたとえ。
・狡兎死して走狗烹らる
必要なときは重宝がられるが、用がなくなればあっさり捨てられることのたとえ。
また、敵が滅びると有能な家臣も不要になり殺されてしまうことのたとえ。
「狡兎」はすばしこいうさぎ、「走狗」は猟犬のこと。
・兎の罠に狐がかかる
思いがけない幸運や収穫を得ること。
・犬兎の争い
犬が兎を追いかけている間に、両者とも力尽きて死んでしまった。無益な争いをしている間に、第三者に利益を横取りされることのたとえ。
・兎も七日なぶれば噛みつく
おとなしい兎でも七日もいじめられればついには噛みつくというたとえから
おとなしい人でも、たびたび辱めを受けるとついには怒るということに使われる。
・兎を見て犬を呼ぶ
事を見極めてから対策をしても遅くないということ。
また、一見手遅れに見えても、対策次第で間に合うこともあるので、あきらめてはいけないということ。
・始めは処女の如く後は脱兎の如し
始めはおとなしく見せかけて相手を油断させたのち、見違えるほどの力を発揮してすばやく敵を攻撃するたとえ。始めは恥じらう処女のように弱々しくふるまい、のちには逃げる兎のようにすばやく行動するという意から。
・買いは処女のごとく、売りは脱兎のごとく
上記から転じて、株式などの取引で、買うときは慎重に、売るときは逃げるように素早くすべきということ。
・兎の毛で突いたほど
うさぎの細い毛の先で突いたほどのわずかという意からきわめて小さいことのたとえ。
・脱兎の勢い
逃げるうさぎのように、きわめて迅速なことのたとえ。
・脱兎の如し
逃げるうさぎのように、非常にすばやいことのたとえ。
・兎にも角にも
細かい部分を気にせずに、重要な部分に関心を向けることを表す言葉。
・烏飛兎走
あっという間に月日が過ぎていくこと。
「烏」は日(太陽)、「兎」は月のたとえであることから、「烏」と「兎」で月日のことを表している。
「飛」や「走」は経過が早いことを表している。
太陽には金烏、月には兎が住んでいるとされる中国の伝説からきた言葉。
烏兎匆々ともいう
・金烏玉兎
太陽と月のこと。
または、歳月や時間のこと。
「金烏」と「玉兎」はどちらも中国の伝説上の動物のこと。
「金烏」は太陽にいるとされる足が三本の烏のことで、太陽のたとえ。
「玉兎」は月にいるとされる兎のことから、月のたとえ。
・鳶目兎耳
情報を集める能力の高い人のこと。
鳶のように遠くのものまで見分けることのできる目と、小さな音を聞き分けることのできる兎のような耳という意味から。
・兎の昼寝
イソップ童話で兎と亀が競争した際に、兎が亀を侮って昼寝をしたために負けたことから、油断をして失敗を招くことや昼寝ばかりする人のことをいう。
参考文献:十二支(えと)の動物たちの生き方辞典 加藤廸男 著 日本地域社会研究所
世界の故事名言ことわざ総解説 自由国民社 江川卓 他著